先日お伝えした「経営・管理」ビザの上陸基準改正について、さらなる変更が見込まれています。
この度、「日本語能力(N2相当以上)」が新たな要件として追加される方向で最終調整に入ったと報じられています。

この動きは、自由民主党内からの提言や、パブリックコメントで寄せられた意見を反映したものです。日本で事業を成功させるには、単に資本力や経営経験だけでなく、日本のビジネス環境や文化を理解し、円滑なコミュニケーションを図ることが不可欠であるという考えに基づいています。


●日本語要件追加の背景

今回の日本語要件追加には、以下のような目的があります。

  • 事業の実効性向上: 日本語でのコミュニケーション能力は、取引先との交渉、従業員への指示、行政手続きなど、事業運営のあらゆる場面で必要とされます。日本語能力を要件とすることで、事業の成功確率を高める狙いがあります。
  • 不正の防止: 過去には、事業実態のない「ペーパーカンパニー」が問題となりましたが、日本語能力を審査することで、実際に日本で事業を行う意思と能力があるかをより厳格に判断できます。
  • 地域社会への適応: 経営者として日本で生活する上で、地域住民や行政との円滑な関係構築は重要です。日本語能力があることで、地域社会への貢献や交流がよりスムーズになります。

●具体的な日本語要件

具体的な要件については、まだ正式な発表はありませんが、以下のような内容が検討されています。

  • 日本語能力評価「B2」相当(中上級レベル=日本語検定N2相当)以上: 事業経営に必要な高度な日本語能力を証明する手段として、JLPT(日本語能力試験)のN2レベルが基準となる可能性が高いと見られています。N2は、幅広い場面で使われる日本語を理解し、自然な会話ができるレベルです。
    行政、銀行、取引先、近隣住民とのやりとりが日本語でできなければ事業は成り立ちません。今回の改正は、その現実を制度に反映したものといえます。
    ただし、これは経営者本人が備えていなくても、日本人の「常勤職員」を1名雇用するなど、適切な日本人スタッフや日本語堪能な職員を雇うことで要件をクリアできるような柔軟性のある設計となっています。
    ※「常勤職員1名以上の雇用」は今回の改定で加えられた要件です。
    過去の「経営・管理ビザ」要件改正についての記事はこちらで確認してください。

●今後のスケジュールと準備

日本語要件の追加は、すでに発表されている資本金や雇用要件の改正と同様に、2025年10月中旬の施行を目指して準備が進められています。

新規にビザを申請される方はもちろん、すでにビザをお持ちで更新を控えている方も、今回の改正を機に、資金計画、人材確保、そしてご自身の日本語能力の向上といった包括的な準備を早期に進めることをお勧めします

●既存ビザ 更新への影響は?

現時点で、既存のビザ更新に日本語能力試験(JLPT)N2以上が必須になるとの公式発表はありません。
しかし、今回の改正の背景には、「周囲との摩擦」の緩和や、日本国内で真に事業を成功させてほしいという行政側の意図があります。

経営者として円滑に事業を運営していくためには、取引先との交渉や従業員への指示、行政手続きなど、日本語でのコミュニケーション能力が不可欠です。当事務所では、これまでも経営者ご本人の日本語能力に配慮した申請サポートを行っており、この点が今後ますます重要になると考えています。

●「経営・管理」ビザ申請の専門家として

当事務所は、単なる申請代行に留まらず、実効性の高い事業計画の策定をはじめ、「経営・管理」ビザの取得に向けお客様のニーズに合わせたサポートを提供しております。
新しい基準では、事業の実現可能性や継続性が厳しく問われます。複雑化する要件に対応するため、これまでの豊富な実績と専門知識に基づき、お客様の事業を成功に導くためのコンサルティングを提供します。

改正法施行後の申請や、今後の更新に不安がある方は、ぜひお早めにご相談ください。ご相談はこちらから。