8月26日に出入国在留管理庁が発表した「経営・管理ビザ」の上陸基準によると、要件が2025年10月中旬に大きく改正される見込です。
特に、資本金が3,000万円以上に引き上げられるという報道は、従前より検討され、情報として流れていましたが、大きなインパクトを与え、新規申請や更新を控えたお客様からの「駆け込み」でのご依頼やお問い合わせが急増しています。

3,000万円は、各国の金融当局による銀行送金規制などもあり、簡単に動かすことが困難な金額です。これまでは、生活資金などの名目で、ほぼ規制なく銀行間送金ができましたが、改訂後は国によっては規制当局の許可がないと難しくなるといった側面もあります。
また、単に初期投資額が増えるだけではなく、事業計画でも、従業員1名の給与や社会保険料を継続的に支払い、かつ3,000万円の投資に見合うだけの収益性・安定性・持続可能性を、説得力をもって証明する必要があることを意味します。

 


●今回の改正で何が変わる?

改正は、ペーパーカンパニーによる不正を排除し、日本で真に事業を行う質の高い起業家を適正に受け入れることを目的としています。
【主な変更点】
○資本金の引き上げ:これまでの500万円から原則3,000万円以上に引き上げられます。
ポイント:融資や共同出資による調達を含め、実質的に自己資金の証明が求められます。
○雇用の必須化:これまでは選択肢の一つだった「常勤職員2名以上」が、常勤職員1名以上の雇用」が必須に。
ポイント:常勤職員の住民票・在留カード・賃金台帳(更新時)等の提出が求められます。
○本人要件の追加:申請者本人に、経営に関する学歴または3年以上の経営経験が求められます。
ポイント:単なる出資者ではなく、経営能力を持つ実務家であることが必要となります。
○審査の厳格化:ビザの更新時も、事業の実態や継続性がより厳しく審査されます。
ポイント:「事業計画書」についても、中小企業診断士などの専門家による評価が義務化されます。


何故要件が変わる?

今回の改正は、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の一環として、より適正な外国人材の受入れを実現するために進められます。特に、経営管理ビザに関しては、諸外国の同様の制度と比較して、以下の点が問題視されてきました。
○ペーパーカンパニーによる不正申請
○ビザ取得後の事業実態の欠如
○十分な雇用創出や経済貢献がされていないケースの増加
これに対して、出入国在留管理庁は上陸許可基準および提出書類の厳格化に踏み切ったことが背景です。


●更新申請への影響は?

新規申請だけでなく、ビザの更新時にも改正の影響があり、足元でも審査が厳しくなる傾向にあります。
「個別審査」の結果、現状が新たな基準と大幅に乖離している場合等は、更新時に注意が必要です。

現在すでに経営・管理の在留資格を持っている人が更新をする際に、常勤従業員を雇用していなくてよいかということも論点になります。1人社長の場合、このままでもよいとするとダブルスタンダードが続き、不公平感を招くことになります。
この要件は、「1名以上の常勤従業員を確保していることのみ」を形式的に求めるのでなく、まさに人材の雇用も含め「経営活動」の実態を求めるものと思われ、既に2025年7月から、更新時には「事業活動を具体的に説明する文書の提出」が必須になっています。

また、経済産業省告示のスタートアップビザもパブリックコメントに入っていることから、こちらの要件も改定後の要件に合致するものに改正される見込みです。


●改正スケジュール

○案の公示(バブリックコメント):2025年8月26日
○受付締切:2025年9月25日 
○施  行:2025年10月中旬
パブリックコメントの内容次第で変更の可能性はあるものの、概ねは現行案のまま施行されるものと思われます。

改正が施行される前に申請したい方、今後の更新が不安な方は、お早めに(事業計画の策定に強い)専門家へ相談されることをお勧めします。

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