「経営・管理」ビザは、事業の経営・管理業務に従事する方が、一定の要件を充たす場合に認められるビザです。

平成26年の法改正によって、それまでの「投資・経営」ビザに、経営・管理活動を追加し新たな在留資格「経営・管理」となりました。このため、法改定以前の認識のまま「投資ビザ」と呼ぶ方も多く、学歴要件等がないことから、お金と事務所があればビザがもらえるといった誤った認識も多く持たれている在留資格です。

近時は、許可の要件が厳格化され、専門家にとっても難易度の高いビザの一つです。それは、「経営・管理」ビザの目的が、投資ではなく「事業の運営」であるため、ビザの申請時点で、具体的かつ実現可能性の高い資金計画・今後の事業の継続性・安定性の立証が求められるからです。
「経営・管理」ビザは、ビザを取って終わりではなく、そこからどのように事業を継続・発展させていくかが問われるます。新規の取得時よりも維持・更新のほうが大変なビザともいえます。

 事業の経営・管理とは

「経営・管理」の在留資格該当性については、入管法別表1の2の表において「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」と規定されています。

時々、不動産投資や株などの資産運用会社を作るといったご相談がありますが、他に収益事業が無ければ、それは単なる投資であって、「経営・管理」の活動とは見做されません。収益事業を継続して行い、利益を上げていくことが必要です。

ビザ申請時、入管に事業の経営・管理の具体性について「事業計画書」を作成して説明します。つまり、事業計画で実現可能性・継続性・安定性を立証するわけです。

設立時は、その内容に疑義や矛盾がなければ概ね問題ありません。しかしながら、2年目以降の更新時には決算書を提出して売上や営業利益、当期純利益の項目が確認されます。業績不振は仕方がなくても、決算書から事業活動を行っていなかったと判断されれば不許可になる可能性があります。

在留資格「経営・管理」の申請は難易度の高いビザですが、本当に難しいのは会社設立時にする変更や認定の申請ではなく、2年目の更新時なのです。

 ポイント① 事業計画書と実現可能性

「経営・管理」ビザは業種の制限がありません。しかしながら、前述の通り、不動産投資や株の投資は事業ではなく投資活動になるため対象とはなりません。何かしらの事業を起こし運営しながら収益をあげていく必要があります。

「事業計画書」中で、どのような事業を起こし、顧客は誰で、どのようにして収益を上げるのかといったことをできる限り具体的に説明し、論理的で筋の通った計画を策定します。

それに加え、事業を安定継続していくための事業遂行能力についても立証する必要があります。これまでの経験・培った人脈・資金力等を自己の強みとしてアピールしてくことが大切です。

その他、具体的なスケジュールと、その実行に直接影響する社内外の関係者(例えば予定している取引先名)等を示し、実現可能性に矛盾がないことを立証することも重要となります。

 ポイント② 事業規模・資本金

「経営・管理」の申請では、多くが上記ロの「資本金の額または出資の総額が500万円以上であること」を満たす形で申請をします。常勤職員を2名以上雇用した状態で事業を運営する場合であっても、この程度の資本金(準備金)がなければキャッシュアウトしてしまうからです。

資本金については、出資原資が審査されます。どのように調達したのか必ずEvidenceを残します。
例えば、親族からの援助であれば、親族との関係を証明する公的文書と金銭消費貸借契約書や借用書・送金記録が求められます。自身の預金であれば、その形成過程を通帳などで立証する必要があります。借入の場合は、誰から借り入れたのか、貸してくれた人はその金額をどのように準備したのかまで言及する必要があります。

特に注意が必要なこととして、先日まで学生だった場合です。通常は「資本金500万円」を準備をすることは大変なことです。借り入れた場合はその経緯をしっかりと説明します。今までの貯蓄であれば、いつどのように貯蓄をしたのか説明が必要です。もし、オーバーワークをして貯めたお金であれば、経営管理も許可もおりませんので注意をしてください。

 ポイント③ 事業所用物件の準備

「経営・管理」の申請時には、独立した事業所用物件が必要です。
「独立した」というのは、専有の独立したスペースが確保され、事務所として機能するための十分は物的・人的設備が確保されているという事です。したがって、フリーデスクやバーチャルオフィスでは認められません。

レンタルオフィスの場合は、明確に個室として用意されている空間を確保することができていることが条件となります。個室というのは具体的には、「壁やドアなどで仕切りが明確になっている空間であること」、「看板や標識などで、事業所の存在が対外的にわかるようになっていること」です。

また、別の企業の一角を間借りする場合、一室を事務所にするのではなくデスク単位やパーテーションで区切っただけの場合、これも独立性がないと判断される可能性があります。

賃貸物件の場合は、契約書の内に「事業所用物件」(使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的)であることが明確になっている必要があります。契約者が起業した法人等の名義になっている契約書の取り交わしが必要です。

よくある不許可例として、賃貸契約の目的が居住用となっている場合や、住居兼事務所の場合に玄関から事務所まで行く間に、生活スペースを経由しなければ行けないケースなど独立性がないと判断される場合があります。

経営管理ビザ取得に向けて、当事務所が総合的なコンサルティング、事業計画書や損益計画書等の各種書類作成から申請代行、許可の受け取りまで一貫して行います。

※基本的に日本語での対応となります。日本語が難しい場合、通訳・翻訳の手配はお客様にお願いしております。
※難易度加算50,000円
※当事業所は経済産業省の認定支援機関です。

会社設立後の経営管理ビザ取得に向けて、入管法に沿った会社設立となるようトータルサポート致します。